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白くまろい尻がゆらゆらと揺れている。なだらかな曲線を描く割れ目の奥で、限界まで広げられた菊門がひくひくと震えながら僕の剛直を健気に咥えこんでいる。
「ん、ぁあ、や、らぁ……! 光忠、みつただぁ! 動いて、突いてぇ……!」
こちらを煽るように腰を高く上げ、くいくいと左右に振られる双丘はまさに絶景だけれど、僕はけして動かない。
「でもさ、長谷部くん、昨日からヤリっぱなしで僕も疲れたんだよね」
嘘である。昨晩からもう何度も長谷部くんの中に精液を注ぎ込んでいるけれど、僕の下半身はまだまだ萎える気配はない。もっともっと長谷部くんと繋がっていたいし、まだまだ射精したりない。それでも動かないのは、長谷部くんが泣きながら僕を求める姿が大好きだからである。
「だから、長谷部くん。君から動いてみせてよ」
「無理ぃ……」
「じゃあ抜いちゃうよ? いい?」
ずろろ、と浅いところまで抜くふりをすると、長谷部くんは「やだぁ」と追い縋るようにナカをきゅうと締めつけてくる。亀頭の先端へ熱烈にキスされているようで気持ちがいい。
「やら、動くから、がんばるからぁ……!」
長谷部くんが涙声でのろのろと腰を左右前後に振り始める。前立腺のところに当たるように小刻みに動かしたり、大きくグラインドさせてみたり。
十五分ほどそうやって頑張って見せたけど、やがてぺしゃりと長谷部くんの腰がシーツの上に落ちる。
「ぁ……あ、」
「もう終わろっか?」
「やだ……ほしい、みつただ、みちゅ、」
体を倒し、すっかりぐずぐずに蕩けて涙を流す長谷部くんの肩甲骨にキスをし、軽く歯を立てる。
「かわいいなぁ」
そう言ってゆっくりと抜き挿ししてみせると、「ぁ、ア、」と長谷部くんが動きに合わせて声を漏らす。場違いにもまるで何かの楽器を奏でているような心地になった。
天鵞絨のような肌理の細かい肌に吸いつき、舌を這わす。その度に長谷部くんの体内が蠢き、切なげな声が上がった。
もしも長谷部くんの演奏コンクールがあったら、僕は優勝間違いなしだろう。他の誰にもこんなにかわいい長谷部くんを渡すつもりはないけれど。
「っ、ァ、や、やら、」
「何が嫌なの?」
「や、これじゃ、足りない」
「なら前も弄ってあげようか」
シーツと長谷部くんの間に手を差し入れて、何度も精液を吐き出してふにゃふにゃになった性器を刺激してやる。
「ひっ、や、それ、やだ」
「嫌だばっかりじゃわからないよ。どうして欲しいの?」
やわらかい性器をぐにゅぐにゅと扱きながら問いかけると、長谷部くんは泣きながら首を振った。
「み、みつただの、」
「うん」
「みつただのおっきなおちんちんで、俺の奥いっぱい突いて、中出しして……!」
「長谷部くん、ナカに出してほしいの?」
「ん、うん……!」
こくこくと頷きながらシーツを握りしめる長谷部くんはなんてかわいいんだろう。もう少し苛めてあげてもよかったけど、僕もそろそろ一度出しておきたい。
「じゃあ、ご期待には応えないとね」
そう言って腰骨のあたりをがしりと掴むと、僕を咥えこむ肉筒が僕を待ち望むように大きくうねった。
◆ ◆ ◆ ◆
長谷部くんはセックス依存症である。
いつから、とか、どうして、とかそういう細かな背景は知らないし、あまり興味もない。大事なのは長谷部くんが定期的にセックスをしなければ著しく情緒不安定になるということだ。
僕と長谷部くんは、いわゆるハッテン場で出会った。薄暗いトイレの個室で、たくさんの男のザーメンまみれになった長谷部くんから虚ろに微笑まれた時、僕は生まれて初めて恋に落ちた。
――なんてみだらで、かわいそうで、かわいくて、綺麗なひとなんだろう!
それから長谷部くん目当てで何度かそのハッテン場に通い、言葉と体を幾度も交わして彼がセックス依存症だと知った時、気づけば僕はこう口にしていた。
「なら僕のところにおいでよ。一生君の面倒見てあげる」
その時の長谷部くんの顔は忘れられない。迷子の子供が親を見つけた時のような、信じられないものを見るような、歓喜と困惑とがないまぜになったような表情だった。
長谷部くんはそのちょうど一週間後に仕事を辞めたらしく、ほとんど身一つで僕の家にやって来た。最低限の衣類と貴重品、それから普段から愛用していたらしいアダルトグッズがいくつか。
引っ越し初日に僕達がしたことは、掃除でも荷解きでも引っ越し蕎麦を食べることでもなく、セックスだった。くたくたになるまでセックスして、気絶するように寝て、起きてまたセックス。セックスセックスセックス。
翌日太陽が中天に昇った頃、ようやく長谷部くんが口を開き、がらがらに掠れた声で僕の名前を尋ねてきた。
「おまえ、そういえば名前はなんて言うんだ」
「光忠だよ」
「……そうか」
長谷部くんはつまらなそうにそう言うとゆっくりと瞼を伏せ、やがてすうすうと安らかな寝息を立て始めた。
それから長谷部くんと僕の性活が始まった。長谷部くんの依存症は想像以上にひどかったらしく、本当に数時間に一回は自慰かセックスをしないと馬鹿になってしまうらしい。
一度出来心で長谷部くんの両手両足を拘束したまま会社に出勤し、夕方頃帰宅して家に戻った時、長谷部くんはもうほとんど発狂寸前だった。
「みつただ、みつただ、はやく、はやくセックスして、おかしくなる、おちんちん、して、はやく、はやく……!」
――おまえ、一生俺の面倒を見てくれるって言ったじゃないか!
そう泣き叫びながら僕に縋りつく長谷部くんを見て、さすがの僕も反省した。
すぐに転職して在宅ワーク中心の生活に切り替え、なるべく長谷部くんから離れることのない生活に切り替えた。さすがに仕事中にセックスするのは難しいけれど、勤務中に僕のをしゃぶりながらオナニーしたりするのは許したし、休憩中は長谷部くんに手マンをしてあげたりして、セックス狂いの長谷部くんができるだけ寂しくないように努めている。
◆ ◆ ◆ ◆
「長谷部くん、ン、すき、すきだよ」
骨の浮いた手首をシーツに押しつけてがつがつ乱暴に腰を使う。
「ァ――ッ! や、あ、んんんっ、そこ、イイ、そこぉ……!」
「だいすき。かわいい。長谷部くん。僕のだよ。僕のだ」
耳朶を食みながらおまじないのように囁き続ける。鼓膜を震わせて脳髄にまで染みこんでしまえばいいと、そう思う。
「っは、ぁああ、みつただ、みつ、」
ぐるりと長谷部くんの体を反転させてこちらを向かせ、乱暴に唇を塞ぐ。
「んん、っ」
長谷部くんの二本の脚が僕の腰に巻きついて奥へと引き寄せる。その動きに逆らわずに最奥を穿つと、長谷部くんはびくびくと全身を震わせて絶頂した。しかし僕はまだイッていないので、そのまま長谷部くんの肉輪を傘の部分でこそげ取るように何度も抜き差しし、口内をじゅるじゅると舌でかき回して蹂躙する。
「ん――っ! んん! っふ、ン、」
酸欠になりかけている気配を察して唇を離すと、笛の鳴るようなひゅうひゅうとした喘鳴が長谷部くんの唇から漏れた。はひゅ、ひゅ、と肩で息をしながら、それでも僕の腰に回った脚の力は緩まないので、つまりそれが長谷部くんの意思である。
僕はなんだかおかしくなって、くすくすと笑いながら長谷部くんの鼻先にちゅっと唇を落とした。
「ねえ、愛してるよ」
長谷部くんは僕とのセックスにしか興味がない。でもそれでも構わない。長谷部くんが僕を愛していなくても、僕がその分まで長谷部くんを愛しているのだから問題ない。
長谷部くんにとって重要なのはセックスで、そのセックスをし続けている限り、彼はけして僕から離れられない。だから、これはそれまでの話だ。それまででそれだけの、ありふれたあいのはなし。
「出す、よ……!」
「っあ! ああああ!」
陰毛がざりざりと触れ合うくらい腰を限界まで押しつけて精液を注ぎ込むと、がくがくと白目を剥いて長谷部くんがイッた。
眠る僕の髪を誰かが撫でる。労るように、慈しむように。
うっとりと囁かれた声は、きっと僕の都合のいい夢に違いない。長谷部くんは僕をけして愛さないのだから。
「……おれのみつただ」
幻はきっと長谷部くんの形をしていた。
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