現パロ

短編

片恋インモラル

8074文字 ――叶わない恋をしている。 明かり取りの細い窓から降り注いで来た朝日に、長谷部は薄い瞼をぴくぴくと動かし、声変わり前の高い声でううんと唸りながら藤色の瞳を開いた。ごしごしと目を擦りながら体を起こした直後、ベッドヘッドに置かれた...
短編

へっぽこ催眠術師と優秀なアルバイト

4388文字 『本日休診日』と札のかかった入口を抜け、アースカラーで統一された待合室を通り過ぎ、まっすぐに奥のドアへと向かう。「長船先生、おはようございます」 そう言ってスライドタイプのドアをがらりと開けた。待合室より幾分か薄暗い照明に一瞬...
短編

シーソーゲームは終わらない

46098文字(全9ページ合計)【1】「他に好きな人ができたの。離婚して頂戴」 先日妻からそんなことを言われて、言われた通りに離婚届に判を捺してきた。  飲み会で部下にそんな話をしたところ、「バカなんですか?」と盛大に呆れられた。名刀のごと...
短編

さよならキャメル

8276文字 長船光忠という男は、優しく非の打ちどころのない男である。「みっちゃんせんせー、えみりのクッキーあげるー」「あー! みっちゃん、りーこのクッキーも食べてよ!」「はいはい、順番に食べるからちょっと待っててね」「あれ、おまえら何して...
短編

僕らの距離

3165文字「シートベルト忘れるなよ」「わかってるよ」「嫌いだからって、つけた後抜け出すのもなしだぞ」「ちっちゃい頃の話はやめてってば」 僕がむっとして唇を尖らせると、運転席の長谷部くんは「ははっ」と愉快気に声を上げた。「あんなに小さかった...
短編

美味しく料理されたのは

2063文字 つやつやぴかぴかと光る白米の上、さっくり揚がった黄金色の天ぷらたちに、茶色く光るたれを三本口のたれかけから惜しげもなくどぼどぼと降り注ぐ。胡麻油の香る香ばしい湯気の中から、新たに甘辛い香りがぶわりと立ち上った。「はい、召し上が...
推し活してたら彼氏ができた

推し活してたら彼氏ができた・1

6136文字NOVELへシリーズ一覧へ 人生には生き甲斐が必要だ、なんて訳知り顔で人は言う。生き甲斐があってこそ人生は輝くのだと。 それは人によっては家族や恋人だったり、趣味だったり、はたまた仕事終わりに飲む一杯のビールだったりするのだろう...
短編

長谷部がお仕置きセックスをされるだけの話

5052文字「長谷部くん?」 寝室のドアを開けると、ブゥゥゥゥゥンと低い唸りが聞こえてきた。 光忠は軽く口の端を上げて鼻歌でも歌いそうな調子で部屋に足を踏み入れる。「ただいま、遅くなってごめんね」 シュル、とネクタイを解いてジャケットをハン...
短編

忘れられない夏休み

8458文字 夏は嫌いだ。 まず暑いのが嫌だ。汗ばんでじっとり張り付くシャツの感触の不快さと来たら筆舌に尽くしがたいし、通勤のための満員電車で他人のじめっと湿った肌に触れるのも不愉快だ。 かと思えば、一歩電車や屋内に入れば極寒の冷房が俺を待...
短編

おてて握っておにぎらず

10296文字 長船光忠、二十八歳独身。職業は保育士。 やはりというか何というか、数合わせで呼ばれた合コンでは女の子達から「子供お好きなんですね」「ピアノも図工も得意なんですか? いいパパになりそう!」と口々に褒め称えられ擦り寄られ大変だっ...
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