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戦場の土埃や返り血を湯殿で軽く落としてから、僕は恋人達の待つ部屋へと足を急がせた。悪趣味な彼らは僕の体臭があった方が興奮するのだと残念がるけれど、戦場から帰ったそのままの姿で彼らとそういうコトをするなんて僕の矜持が許さない。
沈丁花の香り漂う渡り廊下を通り、離れの部屋の障子を開けようと手を伸ばすと、すらりとひとりでに障子が開き、中から現れたふたつの影が僕に抱きついてきた。
「「光忠、おかえり」」
ぴったり同じ調子で重なったテノールを心地よく聞きながら、僕は両腕をそれぞれの腰に回しぎゅうと抱き寄せる。
「ただいま、長谷部くん達」
うちの本丸にはふたりのへし切長谷部がいる。
同じ日、同じ時間に鍛刀された彼らは、ちょうど僕が近侍をしていた時にふたつの桜吹雪を舞わせて顕現した。
「「へし切長谷部と申します。主命とあらば、なんでもこなしますよ」」
そう言ってにこりと微笑んだふたりの姿を見て僕は息を呑んだ。
片や紫水晶のような硬質な瞳をした、不敵に口の端を上げる長谷部くん。
片や竜胆色のやわらかい瞳をした、かわいらしく幼い印象の長谷部くん。
どちらもひどく美しく、綺麗で、可憐で、僕は一瞬見惚れてしまったけれど、すぐに近侍としての勤めを思い出して顔を引き締めた。
「よろしく、長谷部くん達。主は今外出中でいないんだ。僕は燭台切光忠。この本丸の近侍だよ」
「「燭台切光忠……」」
4つの瞳が僕をまっすぐに映す。なんとなく気恥ずかしいものを感じながら、僕はいつものように笑ってみせる。
「そうだよ。さあついてきて。今から君たちに本丸の案内を……」
「なあ」
口を開いたのは竜胆の瞳の長谷部くんだった。
「おまえ、好き合っている刀はいるのか?」
「え? いや特にいないけど」
「そうか。なら俺と付き合ってくれ」
一目惚れなんだ。そう言って長谷部くんがほんのりと頬を朱に染める。
僕が驚きのあまりぽかりと口を開けるより先に、もうひとりの長谷部くんが顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。
「き、貴様! ずるいぞ! 燭台切に先に目をつけたのは俺だ!」
「先に告白したのは俺だ」
「ならば俺も告白する! 燭台切、ひと目見た瞬間からおまえに心を奪われてしまった。俺と付き合ってくれ」
「おまえのような可愛げのないやつに燭台切が靡くものか!」
「うるさい。貴様のような媚びへつらった態度の刀より燭台切は俺のような刀のほうが好みなはずだ」
目の前で長谷部くん達が互いの胸ぐらを掴み合いかけたので、僕は慌てて仲裁に入った。
「落ち着いて、長谷部くん達」
「燭台切、おまえはどっちが好みなんだ!?」
「そうだ、この際はっきり言ってやれ。俺を選ぶと」
「なんだと!?」
好みの顔がふたつ並んで僕に情を乞うてくる光景に正直これは都合のいい夢かな?と思いかけたが、咄嗟につねってみた頬はたしかに痛みを訴えてきて、僕にこれが現実であることを如実に知らしめてきた。
「「燭台切!!」」
見事にハモったふたつのテノールに、僕はさっきから考えていた一言をぽろりと口からこぼしてしまった。
「ええと……三人で付き合うっていうのは、駄目かな?」
そういうわけで、僕は長谷部くんふたりを同時に娶ることとなり、今では本丸の隅に専用の離れを用意してもらうまでとなった。あれから、ふたりとも長谷部くんでは呼びにくいので、紫水晶の瞳の長谷部くんをはせくん、竜胆の瞳の長谷部くんをへしくんと呼び分けるようになり、時々長谷部くん同士で僕を巡って喧嘩が起きることはあるものの、おおむね円満に三人で交際を続けている。
「はせくん、へしくん、ただいま」
交互に頬にキスをすると、へしくんがくいと僕の袖をつかんで唇を尖らせた。
「光忠、唇にも」
「はいはい」
わがままなお姫様にねだられる通り唇を重ねれば、もうひとりのお姫様が首に腕を巻き付けて無言でキスを催促してくる。
要求されるままはせくんにもキスをすると、紫水晶の瞳が熱を孕んで潤みだす。
「ん……みつただぁ」
部屋の奥にはキングサイズのベッドがあって、見ればシーツがすこし乱れている。長谷部くん達の格好がシャツ一枚なところを見ると、既にお楽しみ中だったらしい。半勃ち状態のおちんちんが足の間でぷるぷると震えてるのがいやらしい。
僕はふたりの剥き出しになったおしりを撫で、その奥の秘められた穴にくちゅりと指を埋める。そこはすでに熱くとろけていて、僕の指をおいしそうに飲み込んだ。
「僕のいない間ふたりで楽しんでたの? ずるいなあ」
「ぁ、んっ、光忠に、はやく挿れてほしくてっ」
「ふ……あ、それに、こういう方が好きだろう? んんっ」
腰をくねらせて淫らに笑うふたりはとてもかわいい。
「もちろん。大好きだよ」
そう言って笑えば、長谷部くん達の顔がふにゃりととろけた。このふたりが僕の留守中にお互いの穴を解しあっていたのかと思うと、留守中部屋にカメラを仕込んでこなかったことが心底悔やまれる。
こっち、と両側から手を引かれてベッドに導かれる。既に乱れているシーツの上に乗ると、長谷部くん達は僕を挟むようにして陣取り、はせくんが僕の着物の帯をしゅるりと抜いた。次いで、へしくんが僕の下着に手をかける。
腰を浮かせてやって脱がすのに協力すると、すぐに下着も引き抜かれ、長谷部くん達の痴態に反応して芯を持ち始めている僕自身があらわになった。
「は……光忠のおちんちん♡」
「いただきます♡」
そう言ってふたりが両側から僕のものに舌を伸ばす。ちろちろと二枚の紅い舌がひらめく。すぐにくすぐったいような快感が腰から上ってきて僕はふうと感嘆の息を吐いた。
「ん、ちゅ、みふたら、ひもひいいか?」
へしくんが僕の根元を横向きに咥えながら尋ねてくる。
「光忠はこっちの方が好きだよな。んむ」
そう言って今度ははせくんが僕の先端をちゅうちゅうと吸い始めると、へしくんが焦ったような声をあげた。
「はせ、ずるいぞ。俺も光忠の先っぽ吸う……!」
「ふん。早いもの勝ちだ」
「くそっ」
悪態をついたへしくんがはせくんの顔をぐいと押しやろうとする。
「やめ、はむ、んちゅ」
「みふたやのさひっほはおれのら……! ん、ちゅう」
長谷部くんふたりが陣地を奪い合って僕の陰茎ごしに舌を絡め合う光景はいやらしくて最高だったけれど、さすがにずっとこのままというわけにもいかない。
僕はふたりの頭に手を乗せ、「こら」とやんわりと引き離した。それぞれの唇から僕の先走りと唾液が混ざりあったものがつうっと透明な糸を引く。
「仲良くして、っていつも言ってるだろう? 言うこときかない子には挿れてあげないよ」
「やだ……」
「なかよくするからぁ……」
「じゃあふたりとも仲直りのキスしてみせて?」
ね、と微笑んで促すとはせくんとへしくんは顔を見合わせて、頬をほんのり朱色に染めるとおずおずとお互いに舌を伸ばしあった。さっきまで散々僕の性器ごしに舌や指を絡め合っていたというのに、いざ改めてキスをするとなると恥ずかしいらしい。おかしなものだ。
「「ん……」」
ちゅく、とかすかな水音を立てて長谷部くんたちが舌を吸い合う。同じ顔――それも僕の好みの顔だ――が二つ並んで互いに舌を絡めあい唇を食む姿はたまらなく僕の劣情を掻き立てた。
「っふ、んん」
「ちゅ、っぅん」
同じ体をしているからこそ互いの弱いところは知り尽くしているのだろう。競い合うように口内の性感帯を舌と歯と唇でもって丹念に刺激していく長谷部くんたちの性器は既にかわいそうなくらい勃ちあがっていて、先端からはとろとろと先走りをこぼしていた。藤色をした四つの瞳はとろんと蕩けていて、鏡のようにお互いの顔を映している。
自分で言いだしたことだけれど、なんとなく僕だけ除け者にされている気がして寂しくなってきたので、ふるふると揺れている長谷部くんたちの性器へとそっと両手を伸ばした。
「んんんっ……」
「みつたっ、やめ、」
「こーら。まだやめていいなんて言ってないよ?」
そう言って長谷部くん達の陰茎を握り軽く上下に扱くと、びくびくと白い体が二つ、感電したみたいに震える。
「ああああっ、あ、みつ、たっ、ぁ……」
「っは、んん、ひ、ぁ、やああっらめ、」
「ほら、ちゃんとキスして見せてよ」
「ぅん、ちゅる、っふ……」
「ちゅく、ふぁっあ、ん、」
僕が告げると健気にも口付けを再開させる。それでも二つの唇からかわいらしい喘ぎが漏れ出て来るのは止められないらしい。
僕の手の中には今にも弾けてしまいそうなくらい固くなった陰茎が、先走りと手の摩擦でぐちぐちと濡れた音を立てている。そこにぴちゃぴちゃと長谷部くん達が接吻しあう音が混じり合い、部屋の中に淫靡なハーモニーが響き渡る。
「あ、ぁ、らめ、いくっ…………!」
先に音を上げたのははせくんの方だった。右手の中でびくんと可愛らしい性器が弾けた。
「あ、みつ、ただっ……!」
それにわずか遅れて左手の中でもへしくんの陰茎が震えて達する。
はあはあと荒い息を吐きながらこてんとベッドに倒れ込む長谷部くん達の頭を「頑張ったね」と撫でてやる。ふたりとも気持ちよさそうに目を閉じて自ら僕の手に頭を擦りつけてきた。猫の子だったらきっと喉を鳴らしているところだろう。
「ふたりとも、お尻上げられる?」
「「…………ああ」」
のろのろと手をついて長谷部くん達のお尻がこちらに向けられる。いつ見ても形のいい、引き締まって薄い臀部。その二つともが僕のものだなんて、未だに夢みたいだ。
「触るよ」
薄い尻たぶを指で割り広げると、慎ましやかな蕾がちょこんと鎮座している。
だけど僕は知っている。先程触れた通りそこはひくひくと僕のものを待ち望んで開いていて、指でつつけばすぐにぬるんと中へと入ってしまう。
「「ぁっ」」
同じ声を上げて長谷部くん達が首を反らす。
「まだ一本目だよ? ふたりともはしたないね」
そう言ってくにくにと指を曲げて中のいいところをくすぐるように動かしてやると、快楽を逃がそうとしているのかくねくねと二つの細い腰がうねった。
「あ、らめ、そこ、いじっちゃ……ああんっ」
「ひゃあああっきもちぃ、みつただぁっ」
どちらも同じへし切長谷部だけど、中の感触はちょっとだけ違う。はせくんはきゅうきゅうと狭くて中に誘い込むような動きをしてくるのに対して、へしくんはふわふわしてどこまでも奥に潜っていけそうなやわらかく包まれる感触がする。
僕はもちろん長谷部くん達以外の体は知らないわけだが、どちらもいずれ劣らぬ名器だと断言する。最初は指を一本挿れるだけでも痛がり怖がるのを優しく溶かして気持ちいいことだけを教え込んでいった体は、今ではすっかり僕好みに仕上がっている。開発の成果に満足しながら僕は口の端を上げた。
「指増やすからね」
ぬぷりと挿入した二本の指で中のしこりを意識して擦ってやれば、既に気持ちいいことしか考えられなくなっている長谷部くん達は僕の指のうごきに合わせるようにへこへこと腰を動かした。
「腰、揺れてる。ふたりともかわいいね」
「ぁ、みつただっみつただぁ……」
「みつただっ、も、いれてぇ……!」
ふりふりと腰を左右に振って僕の陰茎を待ち望んでいる二つのお尻を撫でてやると、もどかしそうにふたりが唇を尖らせる。
「「みつただぁ……!」」
「はいはい。この間ははせくんが先だったから、今日はへしくんからだね」
これは僕らの間の不文律で、はせくんとへしくん、僕が最初に挿入する順番は交互にと三人で話し合って決めていた。
ふたりとも僕がそう言うと心得たとばかりに頷いて、はせくんが下、へしくんが上の体勢に移行する。
「挿れる、よ……っ!」
へしくんの腰を抱え、ぬちゅ、と先端を埋める。
「ああああっッ、光忠のおちんちんはいってきたぁ……♡」
「まだ先っぽだけなのに、そんなに気持ちいい?」
「うんっ♡もっと、もっとちょうだいっ♡」
ご期待に添えるようそのまま腰を掴んでぬぷぬぷと砲身を沈めていく。やはりへしくんの中はあたたかくてどこまでも入っていけそうな、僕を受け入れて包んでくれるようなそんな心地になる。
「はーっ……へしくん、気持ちいいよ……」
「っふ、んぅっ」
へしくんがくぐもった声をあげたので下を見れば、はせくんがへしくんの後頭部を掴んで口付けをしていた。よく見ると乳首の方もつままれている。
「んんっやめ、ふぁ、あ、やん……!」
ふたりの仲睦まじい様子を微笑ましく眺めながら僕もゆるゆると腰を動かす。へしくんは奥を突かれる方が好きなので、徐々に腰の動きを激しく、奥を穿つような動きに変えていく。
下生えをお尻の肉に押し付けるようにぐりぐりと動かせば、へしくんはひんひんと鳴きながらはせくんの上に上半身を倒れ込ませた。
腰だけ高くあげるような体勢になりながらも、へしくんははせくんに口内の性感帯をいじられ続けている。
「っは、ぁ、んっ、ちゅ、やら、はせ、」
「ん、ちゅぅ、イイ顔だなァ、へし?」
そう言ってはせくんがにやりと笑う。へしくんの表情は僕からは見えないけれど、きっと悔しそうに歯噛みしているのだろう。
僕がぐるりと腰を回すと、触られてもいないへしくんの性器からぴゅくっと少量の白濁が漏れた。
「ふああああっ」
「へしくん、もうイッちゃったの?」
「やだ、イッてない。イッてないからぁ……!」
ふるふると顔を横に振るへしくん。何故へしくんがこんなに必死になって否定しているのかというと、単純に挿れられてる最中にイッたら相手に交代するというルールがあるからだった。
「……だって。はせくん、どうする?」
「…………光忠に任せる」
「そう? じゃあへしくんもう少し頑張ってね」
「あ、あ、あっ、はげしっ、ぁ、んあっ♡」
ぱんぱんと互いの肉がぶつかって音が鳴るくらい激しく腰を動かしていくとへしくんの中が僕の精を搾り取ろうとぐにぐにと動き出す。
「みつただっみつただっ♡おくっおくにだしてっ♡♡♡」
「わかってるよ。全部飲みこんで、ねっ……!!」
そう言って最奥に叩きつけるように腰をぶつけ、奥の奥に精液を注ぎ込む。快感が腰から背中を伝って脳髄が痺れるような重い射精だった。
一滴残さず注ぎ込むようにぐりりと剛直をねじ込んで、へしくんの体から力が抜けた頃にようやく引き抜くと、「今度は俺の番だな……♡」とはせくんが僕の腰に足を回してきた。
未だ萎えない自身を、今度ははせくんのきつい穴に埋めていく。襞が絡みついてくるようだ。
「あ、あ、あああっ♡♡♡」
はせくんが目を細め美味しそうに僕の陰茎を飲み込んでいく。奥を突かれるのが好きなへしくんと違って、はせくんは浅い所で素早く抜き差しをされるのがたまらないらしい。奥まで挿れて少し馴染んだら、すぐにずるりと引き抜いて小刻みに腰を動かしていく。
「あーっ、あ、やら、こすれる、こすれちゃうっ」
はせくんが左右に首を振る。上に重なって気を失っているへしくんとの体に挟まれ、乳首や性器が刺激されるのだろう。
「気持ちいいねえ、はせくん」
「んっ♡きもちっ♡きもちぃ♡みつただ、もっとぉ♡」
「っ……そんなに締め付けないで」
「だって、きもちぃからぁ♡……ふぁっ!?」
ただでさえ狭いはせくんの中がぎゅっと締まり、僕は持っていかれそうになるのを歯を食いしばって耐えた。気づけば、気を失っていたはずのへしくんがちゅぱちゅぱとはせくんの乳首を吸っていた。
「あ、やら、らめ、ちくびだめぇっ……!」
普段は強気なのに、乳首の弱いはせくんはこうなると弱々しく喘ぐしかなくなってしまう。
「ん、おかえひ、ら」
「や、へし、やめ、あっあ、みつただ、ちゅぽちゅぽやらぁ……!」
「はせくん、こうされるの好きだろう?」
「すきっらけど、やらっ……! あたま、へんになるぅ……」
「変になっちゃえ」
「ああああああっ」
そうして前立腺を強く擦り上げながら奥を付くと、喉を反らしてはせくんが果てる。吸い付いて搾り取ろうとうねうねと動く中に逆らわず、僕は低く呻いて二度目の精を吐き出した。
はあ、と熱い息を吐いてはせくんから自身を抜き取ると、僕の形に開いたままの後膣からこぽ、と白い精液が一筋こぼれ落ちた。
「っは……やらし、はせくん」
そう言ってへしくん越しにはせくんに口付けを落とす。
「んっ……♡みつただぁ♡」
「みつただ、俺も♡」
「はいはい」
三人で代わる代わる舌を絡めあい唇を触れさせ合う。情事の後の、幸せで穏やかな時間。
「「光忠、好きだぞ」」
声を揃えて微笑む長谷部くんふたりを抱きしめ、僕は耳元で囁いた。
「僕も愛してるよ、長谷部くん達」
僕のふたりのお嫁さんは、今日も最高にかわいい。
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