こころなしてとて春を知る

こころなしてとて春を知る

夏空に咲くは大輪の

4512文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ※軽装実装前に書いた話です「夏祭り、ですか?」「そう、今度万屋街で政府主催の夏祭りがあるそうだよ」 そう言って主が差し出して来た一枚の紙を、俺はしげしげと眺めた。「三日間の開催で、出店や盆踊り、...
こころなしてとて春を知る

春過ぎて君想うこと

6998文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ 桜の花びらがすっかり散り、甘い蜜の香りを振りまく躑躅がしおしおと枯れ落ちる頃、俺は光忠と並んで今が盛りの庭の藤棚の下を散歩していた。「綺麗だな」「ああ」 そんなことを言っておいて、光忠の琥珀の...
こころなしてとて春を知る

春ぞ来たりて花の咲く

14825文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ 梅の蕾に比べると、桜の蕾はゆったりとした楕円を描いている。ほんのわずかに薄く紅色をにじませる蕾が、いくつもいくつも房状に枝に連なっている。これらが一斉に花開くのももうじきだろう。 雪...
こころなしてとて春を知る

春来たりなば恋遠からじ

2272文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ 白く丸い花びらが何百、何千と幾重にも重なっているさまは、まるで淡雪のようだった。「ああ、ちょうど満開だね」 雪の溶けきった山道を分け入りしばらく歩き進めると、そこに広がっていたのは一面...
こころなしてとて春を知る

こころなしとて春を知る

25349文字(6ページ合計)NOVELへシリーズ一覧へ次の話へ【一】 恋文を書かなければならない。それも、彼が思わず顔を綻ばせてしまうようなものを。 しかし僕は生まれてこの方恋文などという雅なるものをしたためたことがなく、しばし逡巡した結...
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