2022-06

短編

スイートハニーは俺のもの

7960文字「わー、光忠だ!」 駅のホームで電車を待っていると、後ろからそんな声が聞こえて内心どきりとした。「光忠、マジでかっこいいよね」「今度の写真集もう予約した?」「通常版と限定版両方とも予約済」「いいなー。私悩んでとりあえず限定版だけ...
短編

愛を一輪

8307文字(全2ページ合計)愛を一輪「長谷部、そっちの水揚げは済んだか?」 「ああ、薬研か。手筈通りだ」 「そうか。こっちも大体終わった。……奴やっこさん、今日も来るかな」 ドキリとしたのを気づかれないように、俺はくるりと後ろを向いて手の...
短編

犬も喰わない三日間

14554文字1日目「おい左文字、粟田口。お前ら、料理作れるか?」 同僚の長谷部国重がいきなりそんな事を言って来たので、左文字宗三は怪訝な顔をした。「作れるか作れないかで言ったら作れますけど……」「俺も作れるが、どうした急に」 首をひねった...
短編

休日前夜

6136文字 客先の都合でGWも出勤が続いていて、ここ最近は休む暇がなかった。代休の消化をするのにいつ休みを取ろうかと考えていると、現在交際中(不本意にも)の恋人が「僕も合わせるから7日に休もう」と強硬に主張してきた。 そうして、5月6日の...
短編

バリタチ!

29712文字(全3ページ合計)1.この俺がネコだなんてありえない! 長谷部国重は目の前の映像に絶句した。『ぁあッ、あっ、やあ、も、いきたくない、やらっ』『大丈夫だよ。ほら、ここ、ぐーって押すと気持ちいいね? 気持ちいいって言ってごらん』『...
短編

本丸ダイエット大作戦!

9977文字 その日の夕方、審神者は自室で目を覚ました。 壁掛け時計を見れば時刻は十六時で、まだ夕餉前の時間である。昼寝でもしてただろうか、と思ってぐるりと首を動かすと、不機嫌そうな近侍の顔がそこにあって思わず声をあげた。「は、長谷部」「気...
こころなしてとて春を知る

春過ぎて君想うこと

6998文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ 桜の花びらがすっかり散り、甘い蜜の香りを振りまく躑躅がしおしおと枯れ落ちる頃、俺は光忠と並んで今が盛りの庭の藤棚の下を散歩していた。「綺麗だな」「ああ」 そんなことを言っておいて、光忠の琥珀の...
こころなしてとて春を知る

春ぞ来たりて花の咲く

14825文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ 梅の蕾に比べると、桜の蕾はゆったりとした楕円を描いている。ほんのわずかに薄く紅色をにじませる蕾が、いくつもいくつも房状に枝に連なっている。これらが一斉に花開くのももうじきだろう。 雪...
こころなしてとて春を知る

春来たりなば恋遠からじ

2272文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ 白く丸い花びらが何百、何千と幾重にも重なっているさまは、まるで淡雪のようだった。「ああ、ちょうど満開だね」 雪の溶けきった山道を分け入りしばらく歩き進めると、そこに広がっていたのは一面...
こころなしてとて春を知る

こころなしとて春を知る

25349文字(6ページ合計)NOVELへシリーズ一覧へ次の話へ【一】 恋文を書かなければならない。それも、彼が思わず顔を綻ばせてしまうようなものを。 しかし僕は生まれてこの方恋文などという雅なるものをしたためたことがなく、しばし逡巡した結...