【ゲームブック風小説】いつだって愛してる

短編
     

 キッチンへと足を運び、コップへと水を汲み、ぷち、とシートから錠剤を取り出す。ころんとてのひらの上に転がった赤い錠剤を眺める。
『国重』
 もう二度と会えない、元恋人の呼び声を思い出す。
「■■……」
 ずきりと胸が痛む。あいつは安らかに逝けただろうか。痛みはなかっただろうか。穏やかで優しい男だったのに、自分に関わったばかりに不幸にしてしまった。
 長谷部はきっと元恋人と同じ天国へは行けないだろう。それをするには、あまりにもドロドロとした感情を抱えすぎている。
『長谷部くん』
 光忠の声が脳裏を過ぎる。
 寝言で「だいすき」と言われた時、胸が震えた。この哀れで孤独な男の中心を埋めているのが自分なんだと自覚して、仄暗い喜びがあった。恋とも呼べないような薄汚れた感情は、日に日に長谷部の胸の奥で育っている。こんな汚い自分は、きっと誰にもふさわしくない。ならば。
 長谷部は錠剤を口に放り込み、コップの水を呷った。
 自分の感情はどうにもできないけれど、自分の死に方くらいは、自分で決めてみせる。
「はは……ざまあみろ」
 誰に向かって言ったのか自分でもわからなかった。じわじわと視界が狭まってくる。息が苦しい。
 このまま自分は死ぬだろうか。それとも、運良く助かったりするのだろうか。

 ――ああ、でももし助かったら――、

 長谷部の意識はそこでぶつりと途切れた。

 ◆ ◆ ◆

 「――くん、はせべくん」

 誰かが自分の名前を呼ぶ声がする。
  →無視をする
  →目を覚ます

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