【ゲームブック風小説】いつだって愛してる

短編
     

 ◆ ◆ ◆

「長谷部くん、今日は中庭の桜が綺麗だよ」
 光忠は昔より幾分か筋の浮いた手をいとおしそうに撫でる。
「あとで一枝貰って来ようか。一緒にお花見をしようね」
 二人の他は誰もいない病室の中に、光忠の声と長谷部に取りつけられた機械の電子音だけが響く。
 あれ以来長谷部は何故か目を覚まさなかった。医師からも身体的には何も異常がない筈なのに、と首を傾げられ、未だにはっきりとした原因がわからない。おそらく精神的なものだろう、と診断されて、はやくも数ヶ月が経った。
「ねえ、長谷部くん」
 光忠の長い指が長谷部の頬をぷに、とつつく。
「君は今、どんな夢を見てるのかな。僕の夢? それとも……」
 そこで言葉が途切れた。妬けちゃうなぁ、と呟いて、ベッドの上に寄りかかる。

「……まあいいや。君はこの先もずっと僕のものだもの。ずうっとずっと一緒だよ。僕の、僕だけの長谷部くん」

 うっとりとそう囁くと、光忠は長谷部の唇に自分のそれをそっと押し当てた。

★エンディング5「僕だけの長谷部くん」

 

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