WEB再録

こころなしてとて春を知る

こころなしとて春を知る

25349文字(6ページ合計)NOVELへシリーズ一覧へ次の話へ【一】 恋文を書かなければならない。それも、彼が思わず顔を綻ばせてしまうようなものを。 しかし僕は生まれてこの方恋文などという雅なるものをしたためたことがなく、しばし逡巡した結...
惚れたが負けとは言うけれど

惚れたが負けとは言うもので

21550文字NOVELへシリーズ一覧へ次の話へ 最初に俺の恋人の自慢をさせてほしい。 俺の恋人の名は燭台切光忠という。長船派の祖・光忠によって打たれ、伊達政宗公からその切れ味を讃えられて号を授かった日本刀の付喪神である。 審神者より仮初の...
惚れたが負けとは言うけれど

惚れたが負けとは言うけれど・7

9629文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ 長谷部くんが修行へと旅立ってから今日で四日目になる。 帰還の時間まではまだもう少しあるけれど、長谷部くんを一番最初に出迎えるのは僕でありたい。その一心で僕は朝からゲートの前で行ったり来...
惚れたが負けとは言うけれど

惚れたが負けとは言うけれど・6

7805文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ「それじゃあ、行ってくるからな。後は頼んだぞ」「ええ、主命とあらば」 にこやかに微笑みながら長谷部くんが胸に手を当てて礼をする。 主から特別に留守番を頼まれて張り切ってるんだな、なんてみ...
惚れたが負けとは言うけれど

惚れたが負けとは言うけれど・5

8004文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ したいプレイがあるんだ、と言い出されるのにはもう慣れたつもりだった。それでも驚きというものはまだまだ日常に潜んでいるもので。  その日長谷部くんが取り出して来たのは、黒のボンテージ衣装...
惚れたが負けとは言うけれど

惚れたが負けとは言うけれど・4

22377文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ「光忠、今日は普通にしよう」  本来なら喜ぶべき一言は、僕の動揺を誘ってあまりあるものだった。「は、長谷部くん? 大丈夫? 具合悪い?」「いや、まったく」「え、ええと、そうだ。手錠使っ...
惚れたが負けとは言うけれど

幕間・馬に蹴られるその前に

5202文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ  鶴丸国永は驚きが好きだ。  刺激がなくては刃生つまらない。自分以外の誰かや何かと触れ合い心を動かして、そうして初めて生きていると実感できる。  畑の野菜が次々と実をつけて色づいていく...
短編

水底の箱庭

27726文字 金曜の終業後、待ち合わせ場所に指定された居酒屋に行くと、既にジョッキを傾けている黒髪の美丈夫の姿が見えたので、俺は何も言わずに向かいの席に腰を下ろした。「……またか」「まただよ」 そう言ってグビリとビールを飲み干す喉の動きに...
惚れたが負けとは言うけれど

惚れたが負けとは言うけれど・3

10925文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ  僕の恋人の長谷部くんは困った事にちょっとMっ気がある。いや、この際オブラートに包んでも仕方がない。Mだ。彼は罵られたり甚振られたりする事に快感を覚える変態だ。  長谷部くんが普通の...
惚れたが負けとは言うけれど

惚れたが負けとは言うけれど・2

6958文字前の話へNOVELへシリーズ一覧へ次の話へ「光忠、そろそろ次のステップに進んでもいいだろうか」「それステップじゃなくて多分崖だよね? 進むっていうか落ちるんだよね?」  しかも奈落に。おそらく底はないだろう。  っていうか次って...